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多田 健一; 長家 康展; 国枝 賢
no journal, ,
原子力機構では、国産核データ処理システムFRENDY(FRom Evaluated Nuclear Data librarY to any application)の開発を進めている。FRENDYの開発では、連続エネルギーモンテカルロ計算コード用の断面積ライブラリ作成機能の実装を第一の目標としている。連続エネルギーモンテカルロ計算コード用の断面積ライブラリの作成を行うためには、(1)ポイントワイズ断面積の作成、(2)確率テーブルの作成、(3)熱中性子散乱データの処理、(4)連続エネルギーモンテカルロ計算コード用断面積ライブラリの作成の四つの処理を実施する必要がある。FRENDYでは既に1 - 3の処理機能を実装しており、今年度はPHITSやMCNPなど、多くのモンテカルロ計算コードで採用されているACEファイルの作成機能の実装について報告する。FRENDYで作成したACEファイルの妥当性検証のため、JENDL-4.0をFRENDYおよびNJOY99で処理したACEファイルを使用して積分実験のベンチマーク計算を実施し、実効増倍率を比較した。その結果、どの体系においても0.05%以下の精度でNJOY99の結果と一致することが分かった。このことから、FRENDYのACEファイル作成機能は妥当であると考えられる。
中山 梓介
no journal, ,
放射化断面積ファイルの開発に向けて、入射エネルギー50keVから20MeVまでの範囲で銅同位体の中性子断面積を評価した。銅は原子炉や加速器など様々な施設で使用される重要な元素である。しかしながら、銅同位体の放射化断面積の評価値については30年近く更新されておらず、近年取得された実験値と大きな差異のあるものも見られる。以上を踏まえ、本研究では特に放射化断面積の精度向上を目指した。核反応の計算にはCCONEコードを使用し、直接成分は分散型チャンネル結合光学モデルおよび歪曲波ボルン近似によって計算した。この際、全断面積や弾性・非弾性散乱断面積が実験値を再現するように中性子光学ポテンシャルおよび変形度を調整した。また、前平衡成分は二成分励起子モデルにより、複合核成分はHauser-Feshbachモデルにより、それぞれ計算した。この際、単一粒子平均密度や準位密度パラメータ等について、反応や反応等の断面積が実験値を再現するように調整した。また、線強度関数は捕獲断面積の実験値を再現するように規格化した。こうして得られた評価値は現行のJENDL-4.0の評価値よりも、既存の実験値と良い一致を示した。
中野 寛子; 広田 憲亮; 武内 伴照; 柴田 裕司; 根本 忠洋*; 花本 行生*; 土谷 邦彦
no journal, ,
原子力発電所における監視システムの高度化の一環として、過酷事故時でも炉内の計測データを伝送可能な高温型MIケーブルを開発している。特に、過酷事故時の原子炉内は、窒素, 酸素, 水素, 水蒸気のほかに核分裂生成物等が含まれた混合ガス雰囲気に暴露されることから、シース材の早期破損が懸念される。本研究では、MIケーブル用シース材として選定したSUS316及びニッケル基合金NCF600について、過酷事故環境を模擬した雰囲気(O, O/HO, I, I/O/HO等)中における耐食性評価を行った。その結果、7001000CのO及びO/HO雰囲気では、SUS316及びNCF600ともほぼ均一な酸化被膜の形成が観測され、酸化現象は放物線法則が成立することが分った。一方、I雰囲気では、温度の上昇とともにSUS316表面の孔食が増加すること、Iを含んだ混合ガス雰囲気では、Iの影響と思われる孔食と酸化被膜の形成という複雑な腐食挙動を示していることが分った。
前田 亮; 大図 章; 呉田 昌俊; 藤 暢輔; Bogucarska, T.*; Crochemore, J.-M.*; Varasano, G.*; Pedersen, B.*
no journal, ,
原子力機構(JAEA)と欧州共同研究センター(JRC)は、核変換用MA-Pu燃料などの高線量核燃料の非破壊測定技術開発に関する共同研究を行っている。その中のDifferential Die-Away (DDA)法の不確かさの主要因は、試料内での核物質の偏在、及び試料材質によって大きく異なる中性子の減速・吸収・増倍効果である。これらを評価するため、核物質の偏在状態を模擬できる標準マトリクスを3種類の材質で作成し、核物質の偏在と中性子の減速・吸収・増倍効果を同時に調べることを可能とした。本発表では、JRC型DDA法による測定装置Pulsed Neutron Interrogation Test Assembly (PUNITA)を用いて、核物質の偏在と試料の材質が測定に与える影響を定量的に評価した結果について報告する。
今野 力; 多田 健一
no journal, ,
200MeVまでの核データライブラリーTENDL-2015は、世界中で、特に、ヨーロッパで標準的な核データライブラリーとして使われ始めている。我々は、TENDL-2015の中性子サブライブラリーとそのACEファイルに次の3つの問題があることを見つけた。すなわち、(1)中性子サブライブラリーに非分離共鳴データがあっても、ACEファイルに非分離共鳴データがない核種が多い、(2)中性子サブライブラリーに2次線データがあっても、ACEファイルに2次線データが入っていない核種が多い、(3)捕獲反応で放出される約5MeV以上の2次線が他のライブラリーと比べ少ない核種が多い、である。これらの問題の影響を調べたところ、以下のことが判明した。TENDL-2015中性子サブライブラリーでは、(1)非分離共鳴の自己遮蔽が補正できない、(2)中性子-線結合計算で正しい線束を計算できず、約1keV以下のDPA断面積が極端に小さくなることがある。以上のことから、TENDL-2015の中性子サブライブラリーの捕獲反応の2次線データとACEファイルは修正が必要である。
Hales, B. P.; 中村 詔司; 木村 敦; 岩本 修
no journal, ,
J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)の大強度中性子を利用して、高レベル放射性廃棄物に含まれる長寿命核分裂生成核種(LLFP)のうち、Cs(半減期230万年)の中性子捕獲反応断面積を測定する計画である。Csを測定する際に、試料中に化学的に分離できない核分裂生成物Cs(安定核種)が不純物として混在する。Csのデータを精度よく測定するためには、Csの断面積データも精度よく求めておく必要がある。そこでJ-PARC MLFのANNRIを用いて、熱領域から1.5keVまでの中性子エネルギー領域におけるCsの中性子捕獲断面積を飛行時間法で測定した。過去の測定より精度を上げて、かつエネルギー領域を広げて測定データを得ることができた。また、過去の共鳴のミスアサインを確認した。
森岡 辰也; 澤崎 浩昌; 内田 武伸; 佐藤 健; 中村 恵英; 塩谷 洋樹; 桾木 孝介
no journal, ,
もんじゅの1次主冷却系循環ポンプでは、過去のR&Dにおいて類似長尺ポンプで発生した周方向温度差に起因するナトリウム軸受部の軸固着を防止するため、内部ケーシングと外部ケーシングの間に自然対流防止板を設置し、周方向温度差が発生しないように設計している。ナトリウムを冷却材とした大型・長尺の機械式立て型自由液面式遠心ポンプであるもんじゅ1次主冷却系循環ポンプの健全性確保に自然対流防止板の効果があったことを、プラントデータを用いて確認する。
横山 賢治; 竹田 敏一*; 沼田 一幸
no journal, ,
本研究では、核変換量と安全性に係わる反応度係数の調和を考慮したMA核変換炉心概念を開発している。そのためには、MA核変換量等の核特性の解析精度の向上が重要である。本報告では、解析精度の向上を目的としてこれまでに収集・評価したMA関連測定データを、本研究において新たに提案された手法「系統誤差を取り除く断面積調整法」に適用した結果を示す。
古立 直也; 湊 太志; 岩本 修
no journal, ,
統計模型を用いた核反応の計算では、原子核の準位密度の情報が必要不可欠となる。核データ評価では通常Fermi gas模型といった現象論的な模型が準位密度計算に用いられるが、その信頼性は実験値を用いたパラメータ調節に依存している。そのため、核分裂生成物など実験情報の乏しい不安定核の核データ評価に用いる妥当性は明らかではく、パラメータ調節に依存しない微視的な計算手法の発展が望まれる。準位密度の微視的な計算手法として、Hartree-Fock(HF)理論により得られる一粒子準位を用いたcombinatorial法計算があり、主にs波中性子共鳴間隔の実験再現性においてその妥当性が議論されている。一方で、断面積計算の実験値との比較については、特定の核種について(n,)反応の比較などが行われているが、十分とは言えない。本研究ではcombinatorial法により準位密度を計算し、(n,)反応、(n,2n)反応などの核反応計算に適用する。安定核についてs波中性子共鳴間隔と同時にこれら核反応の断面積を系統的に実験値と比較し、微視的計算手法により得られる準位密度の妥当性を検討する。
河口 宗道; 宮原 信哉; 宇埜 正美*
no journal, ,
Na-コンクリート反応(SCR)はコンクリート侵食を伴いながら水素が発生するために、高速炉のシビアアクシデント評価の上で重要となる。本研究は、反応生成物の存在下における反応界面への反応物の移行・供給挙動に着目した実験を行い、主に自己終息挙動について調査・考察した。
大図 章; 前田 亮; 米田 政夫; 飛田 浩; 藤 暢輔
no journal, ,
原子力機構では、核変換用MA-Pu燃料等の高線量核物質の測定法を確立することによって核不拡散・核セキュリティに資するため、中性子を用いた非破壊測定装置の技術開発を実施している。その装置は、核分裂性物質量を測定するダイアウェイ時間差分析(DDA)部を備えており、高速中性子直接問いかけ(FNDI)法を用いた測定が可能である。FNDI法では、測定サンプルに高速中性子を照射し、容器内の核物質が起こす核分裂反応によって放出される中性子を測定する。また、測定サンプルの周囲にはモデレータを配置し、サンプル内の位置感度差を低減させることによって測定精度を向上させている。本報では、測定精度を決定するサンプル容器内の熱中性子の空間分布を調査するためにMCNPを用いたシミュレーションを行ったので、その結果について報告する。
中尾 太郎; 寺田 和司; 木村 敦; 中村 詔司; 岩本 修; 原田 秀郎; 井頭 政之*; 片渕 竜也*; 堀 順一*
no journal, ,
加速器を用いた反応断面積測定において標的サンプルの絶対量は測定結果に直接影響する重要なものであるが、放射性サンプルの場合必ずしも絶対量は精度よく決定されていない。また、放射性物質は密封性を満たすことが要求されるため非破壊での高精度定量手法が必要である。本発表では、原子力システム研究開発事業「マイナーアクチニドの中性子核データ精度向上に係る研究開発」の一環として、熱量測定によって非破壊で高精度に定量する技術開発およびその測定結果について報告を行う。
岩本 信之; 水山 一仁; 岩本 修
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マイナーアクチニドのAmやNp、長寿命核分裂生成物のTcは加速器駆動未臨界システム等を用いた核変換による減容対象核種である。これらの中性子捕獲断面積の精度を向上させることは、核変換システムの核特性や対象核種の核変換効率に関する評価にとって特に重要である。しかしながら、高速エネルギー領域における現状精度はシステム設計のための要求精度に比べ、2倍以上悪いことが報告されている。本研究では、既存の測定値の誤差要因を可能な限り排除することで、AmやNpの熱領域、またTcについては高速エネルギー領域における捕獲断面積の評価を実施したので、得られた結果を報告する。
木村 敦; 中村 詔司; 寺田 和司; 中尾 太郎; 原田 秀郎; 片渕 竜也*; 井頭 政之*; 高宮 幸一*; 福谷 哲*; 藤井 俊行*; et al.
no journal, ,
原子力システム研究開発事業「マイナーアクチニドの中性子核データ精度向上に係わる研究開発」の一環として、J-PARC ANNRIにおいて、様々な手法で高精度に定量されたAm試料を用い、Amの中性子捕獲反応断面積及び全中性子断面積の両方をTOF法により高精度に測定し、過去の実験値や評価済みデータとの比較を行った。
寺田 和司; 中尾 太郎; 木村 敦; 中村 詔司; 水山 一仁; 岩本 信之; 岩本 修; 原田 秀郎
no journal, ,
J-PARC ANNRIのGeスペクトロメータを用いて飛行時間法によりAmの中性子捕獲断面積を測定した。熱領域から100eVの中性子エネルギー領域に対する断面積を導出し、評価値や過去の測定値と比較した。
山下 卓哉; 沢田 憲良*
no journal, ,
帰還困難区域の復興計画を見通す際に必要となる除染の効果と将来の線量率予測を実施し、国や自治体に情報提供を行うことを目的に、除染活動支援システム「RESET」を用いて除染シミュレーションを実施した。
川村 英之; 古野 朗子; 小林 卓也; 印 貞治*; 中山 智治*; 石川 洋一*; 宮澤 康正*; 碓氷 典久*
no journal, ,
福島第一原子力発電所から海洋へ放出されたCsの海洋拡散シミュレーションはこれまで数多く行われてきたが、シミュレーションには放出量や海況データ等に起因する誤差が含まれている。本研究では、5種類の海況データを入力データとした海洋拡散シミュレーションを実施することで、海況データの相違によるCsの海洋中移行への影響を解析し、福島県沿岸から北太平洋広域までのCsの海洋中移行を明らかにすることを目的としている。水平解像度が低いシミュレーションと比較して、高解像度シミュレーションは福島県の海岸線と沖合で観測されたCs濃度を良好に再現しており、事故から数か月間は海洋へ直接放出されたCsが福島県沿岸を主に南北方向に拡散したことが示唆された。北太平洋西部や北太平洋全域を対象としたシミュレーションは、比較的解像度が低いがデータ同化手法により主な海流の変動を良好に再現しており、Csが沿岸から外洋へ輸送される過程で黒潮続流が大きな役割を担っていたことが示唆された。また、Csは事故直後は主に混合層に存在していたが、1年後には混合層以深にも輸送されたことが定量的に示された。
Omer, M.; 静間 俊行*; 羽島 良一*; Angell, C.*
no journal, ,
米国デューク大学でレーザーコンプトン後方散乱によって生成された直線偏光線を用いて弾性散乱実験を行った。高純度Ge検出器を用いて、2MeVのエネルギーの光子のウランターゲットによる弾性散乱を測定した。本測定結果を、核共鳴蛍光散乱による同位体同定の感度改善のためのシミュレーション計算に用いる。本講演では、偏光線の弾性散乱断面積の検証結果について報告する。この結果は、核共鳴蛍光散乱による同位体の同定の感度を改善するのに役立つ。
芹澤 弘幸; 大澤 崇人; 大石 佑治*; 根本 義之; 近藤 啓悦; 正法地 延光*; 加治 芳行
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水蒸気発電タービンのタービンブレード材料として知られるFe-Cr系合金の腐食挙動を明らかにするため、不安定な水蒸気の酸素及び水素活量を求めるための新しい熱力学適用モデルを提案して活量を計算した。その結果、不安定な水蒸気の気相中の酸素活量は、平衡状態となった場合と比較して、異常に高くなることが判明した。このような現象は、腐食の反応プロセスにも影響するものであって、今後発電効率を上げるために温度を上昇させる際には注意を要する。
山下 晋; 上澤 伸一郎; 吉田 啓之
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原子炉格納容器内に存在する燃料デブリの取り出し工法においては、大きく分けて水中で取り出しを行う冠水工法及び気中で行う気中工法がある。原子力機構では、燃料デブリ分布範囲を気中とし、水冷、散水を全く行わない完全気中工法の実現可能性を評価するための手法開発を行っている。この工法の特徴は汚染水が発生せず格納容器を止水する必要が無いといった特徴があるが、その冷却評価には不確かさが存在する。本報では、デブリの分布及び周囲の構造物が温度場に与える影響についての評価した結果を報告する。